トレッキング初心者が始めちゃったブログ

【ここだけの話】『トレッキング初心者が始めちゃったブログ』 と、タイトル設定したけど、今のところ主な活動は、「山登り」、「山歩き」、要は登山ですね。これが実に楽しい。タイトル下にも書いたけど、本当に不思議なくらいにこの世界に引き込まれていく自分が突然として顔を見せた。自分はいい年齢(トシ)なので、余り危険なことをする気はないけど、若いうちにこの世界を知っていれば、もしかしたら冒険心みたいな気持ちに灯がともってしまったかもしれない。この「山の世界」、かなりお勧めである。

2016年5月28日土曜日

《みんなどうしてる?》行動食は何を食べてるのか

重い荷物を担ぎ、長い山道をへこたれることなく歩き続けるためには、ただ山が好きなだけでは成すことはできない。そこに必要なのは身体を動かす原動力となるエネルギー、つまり食事が大事だってこと。確かにそうでしょう。
山歩きの場合、昼飯などのちゃんとした食事のほかに(そのちゃんとした食事を摂れないこともよくあるが...)、その運動量の豊富さから行動食が必要となってくる。先日の酉谷山の山行を例に挙げる。あのときは朝5時前に家で朝食を摂り、歩き始めたのは7時ころ。20kg以上の荷物をゆっくりとしたペースとはいえ、徐々に高所に運んでいき、途中、昼食休憩を含め合計1時間程度の休憩を取り、3時過ぎに小屋に着き、5時ころに夕食を摂った。この間のおおよその消費および摂取カロリーは次のとおり。なお、消費カロリーは山行部分に限る。

 消費カロリー(kcal)=METS(運動の強度) ×運動時間(時間)×体重(kg)×1.05
       3,880.8kcal     =8.0(負荷の高い登山)×        7h           ×   66kg    ×1.05

 摂取カロリー(kcal)=朝食(おにぎり2個)+昼食(インスタント麺)+行動食(ロールパン3個、
          クリーム玄米ブラン2切)+夕食(缶ビール2本、つまみ少々)
    1,838kcal  = 朝400 + 昼500 + 行(282+176) + (280+200)

家には常にいくつものストックがあるのだ。
通常、成人男性の1日の消費カロリーが2,000kcal前後だとすると、この日はたった8時間程度でその2倍くらいのカロリーを消費したわけだから、普通の摂取カロリーだけではとてもではないが、エネルギー不足となってしまう。とにかく歩き続けるために、もっと言えば無事に帰ってくるために行動食は大事なわけ。この日の山行もこうやって振り返ってみると、全然カロリー不足だったてことになる。確かにふらふらになったな。
ものの本によれば、エネルギー補給のための行動食としては炭水化物ということになっているらしく、炭水化物を多く含む食品は、米、パン、うどんなど、意外にもレーズンも多いらしい。さすがにうどんを行動食にするのは難しいし、ごはんも夏場は悪くなりがちなので、自分の場合、主にはパンを行動食にすることが多い。それと、好きなのがアサヒで出してる「クリーム玄米ブラン」で、最近はこの2種類を交互に摂取している。それでも昼食と合わせてもせいぜい1,000kcalだとすると、山歩きって摂取カロリーとの差し引きで考えても相当にエネルギーを消費する運動だということ。ダイエットには、もってこいといえるが、無事に帰ってこられないと意味はない。自分、今度はレーズンも行動食に加えてみようかなと思っているが、他の登山者はどうしているのだろう。同じような感じなのかな?

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2016年5月22日日曜日

竹内洋岳さんのトークショー

この登山家、山登りだけではなく、しゃべりも一流ですね。
昨日、某大手山岳系スポーツ店主催のイベントがあり、その中で日本人で唯一、世界でも29人目となる14座サミッターの竹内洋岳さんのトークショーがあったので傍聴してきた。
間近で見る竹内さんは、テレビなどで見るご本人よりももっと細身な印象で、しかも山男らしからぬ(というのは自分の先入観ではあるが)饒舌で、本当にこの男がすべての8000m峰を制覇した男なのだろうかと、最初は半信半疑とでもいうか不思議な感覚で、彼の話に聞き入った。
話の内容としてはやはり14座登頂の話で、それぞれの登頂に至るまでのエピソードや山の歴史などを実に端的に、しかもテンポよく話を進めていった。初の8000m峰登頂となったマカルーでは1995年当時、満足な地図や資料がなかったため、ベースキャンプとする場所を3か月もかけて自分たちの足で探して決めたとか、2001年のナンガパルバットでは友人の突然の病気により国際公募隊に日本人ただ一人参加することとなってしまい大変だったが、その後の8000m峰をともにするドイツ人登山家ラルフ・ドゥイモビッツとの出会いがあったとか、話の内容はどれも興味深く、皆、「竹内ワールド」に引き込まれていたと思う。
そうした話を聞きながら強く感じたのは、この竹内という登山家、実によく勉強をしているということ。14座のことに限らず、ヒマラヤのこと、山のことを仔細に調べ上げ、しかもそれはおそらく講演用というわけではなく、幼いころから持ち得ている山に対する本質的な興味心と、日本のリーディング・クライマーの一人としての自覚が、単なる山バカに収まらず、まるで実践力を兼ね備えた学者といったイメージ。まあ、母校の客員教授を務めているらしいから、なるほど頷けるところかな。学校もいいところに目をつけたと思う。
すっかりファンになり、本まで買っちゃった...
ところで、この日最も印象に残った話としては、14座登頂を終えて盟友のラルフとのメールのやり取りで、「自分たちは次の山に登りたいために今の山を登っている。だから14座を登り切ったからといって何かが終わったわけではなく、単純に次の山へ登る準備が整っただけのこと」的な話。結局彼らにとって14座サミッターという偉業は単なる通過点であって、飽くことのない探求心が体に宿っているらしい。やはり竹内さんは学者ではなく、根っからの探検家なのだろう。次は未踏峰を狙っているらしい。ぜひとも頑張ってほしいところ。


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2016年5月19日木曜日

《その後のマイギア》トレッキングポール

代替のポールキャップ、違和感なしですね~。
今使っているLOCUS GEARのトレッキングポール、確か1万円ちょっとで購入できて、しかもフルカーボンだけあってさすがにとても軽いので、いまや欠かせない山の友となっている。店舗販売をしていないので、ちょっとした付属品を購入するのにも送料の方が高くつくこともあるのが、なんとも微妙ではあるが、商品自体はシンプルで質のいいものだと思っている。ただ、先日ひとつだけ愚痴をこぼしたくなることがあった。
きっかけは先日の山行のときのこと。うかつにもぬかるみにトレッキングポールのキャップを取られてしまい、気づいたときにはすでに後の祭り。そのときは先を急いでいたこともあり、片方、キャップなしでその後の山行を続けた。でも、さすがにこのままではいられないので、先日、LOCUS GEARのホームページから注文しようとしたところ、自分の使用しているモデルのトレッキングポールはすでに代替わりでなくなっていて、ポールキャップも見当たらない。サービスセンターに問い合わせてみたところ、すでに販売終了したと、あっさりとした答え。ただ、親切なのかどうか分からないけど、「一般的に販売されてるキャップを使用いただけます」ということだったので、早速、近所のアウトドアショップに行って物色したところサイズ、ぴったんこのラバーキャップを見つけた。300円とややお高めだったが、まあ背に腹は代えられないということで即、購入。
それにしても自分が今のポールを購入したのが3年前で、すでに関連商品がサポート切れだなんて、あまりにもあっさりしすぎでしょ。やっぱりマイナーブランドたるゆえんなのかな...。

以前の投稿 → こんなの買っていた〈Ⅹ〉トレッキングポール(2013.4.27)

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2016年5月15日日曜日

久々の多摩川サイクリングロード

久しぶりのタマサイ。みんな元気に走ってます。
昨日、久々に多摩川サイクリングロードを走ってきた。もち自転車。おそらく3年以上はここを走っていなかったと思う。自転車自体も約1年ぶりだったので、かなり身体には応えたようで、今日はあちこちが筋肉痛。普段から運動をしているつもりではいるが、やはりいつもと違う筋肉を使ったせいなのだろう。タマサイ(多摩川サイクリングロード)には、山を始める前、自転車にハマっていた時期があって、その頃はよく来たものだが、その頃と比べると、幾分ランナーが増えたような気がする。自転車も相変わらず多いので、それぞれの距離が近くなったような気がして、走りながらもひやひやする場面が何度かあった。そろそろこのタマサイも、サイクラーとランナーを分離させるなどの何らかの事故対策を本気で考える時期に来ているのかもしれない。
まあ、その議論はその専門の場所に任せるとするが、この日、自分は改めて自転車によるトレーニングの有用性を認識したほか、多摩川の源流に思いを馳せた。まず、トレーニングの面だが、普段ランニングと筋トレ中心のトレーニングを行っている自分にとって、この日、一番応えた部位がハムストリング。ハムストリングは、山歩きにおいても強い蹴り込みでグイグイ急登を進むために必要な筋肉だが、筋肉痛の感じからすると、普段のトレーニングではなかなか鍛えられていないようだった。今後は適度に自転車を取り入れていこうと思う。この日は80kmくらいを走ったが、最後は動けなくなるくらいヘロヘロになってしまった。久々とはいえ、ちょっと情けなかったかな。
真ん中の一番高く見えるのが大岳山
それと多摩川源流。笠取山辺り。「そうかそこがあったか」と、はっとした。上流側へ向かう途中、奥多摩の山々が見えてきた。やはり目立つ大岳山、その陰にひっそりと佇む御前山。何とか見える雲取山、さすがに笠取山は見えない。「ようし、次は笠取山に行こう。そして多摩川源流を見てこよう」と、思わぬところから次の目標が見つかった。帰ってから早速、ネットで調べてみると、笠取山から雲取山までの縦走が2泊3日でできそう。いいコースが見つかったから、あとはどうにかして職場で休みを貰うだけ...。だっ、大丈夫か働き盛りのはずの自分...。


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2016年5月12日木曜日

富士山は登るべきか?

これを飲みながら考えたが、やはり答えは出ない。
山歩きを始めてからずうっと頭の隅に引っかかっていることがある。富士山である。富士山といえば2013年に世界文化遺産に登録されてからというものの(もちろんそれ以前から人気の山ではあったが)、マスコミの加熱した取り上げも加わってか、夏季限定で見ると今や日本で最も人気のある山といってもいいかもしれない。テレビで見たことがあるが、夜明け前、山頂に向かうヘッドライトの列、おぞましい限りだ。
彼の深田久弥は、「私などは出来るだけ人と会わない静かな山を求めていく」と言っているが、此の自分もそっち派。山には静寂や非日常を求め、いわば現実逃避を果たす場として一人でいる時間を楽しんでいる、というのが最近の山行に対する自己分析。だからといって自分自身、決して人嫌いという訳ではないと思っているが、確実に静かなところは好きな訳で、山はまさにうってつけの場所。
一方で、山好きを公言している自分、冒頭の引っかかりというのは、つまり言わずもがな、いまだ富士山に登ったことがないことにある。山好きの方の中には、「富士山は眺める山であって登る山ではない」と、その混雑ぶりから、そう言う人も少なくないが、皆、富士登山経験者ばかりで説得力がある。だから、自分も嫌だと思いつつも自身のキャリアを積み上げるために富士山に登るべきか、それとも「富士山に登らない山好きオヤジ」といったキャラを貫いていくべきか、本当に今、迷っている。どうしよう、引っかかりは、しばらくは続きそうだ。

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2016年5月8日日曜日

都内散歩『等々力渓谷』(とどろきけいこく)

都会のど真ん中にうっそうとした渓谷が。実に不思議。
『等々力渓谷』、ここにはいつか行こうと思っていた。実のところ、いつでも行けると思っていたし、いわば本格的なところではないことは分かっていたので、それほど大きな期待も持っていなかったのが正直なところ。ただ、都会の中の渓谷だなんて面白そうだったから、多少の興味は持っていた。昨日、ふと思い出したので、家内を誘って二人で出かけてみた。
場所は東急大井町線は等々力駅から徒歩3分程度のところ。その渓谷入口から1kmに満たないような距離にその渓谷は横たわっている。実際に訪れてみると、そこは確かに立派な渓谷で、まさに都会のオアシス的な場所と言ってもいいかもしれない。谷の深さは20m弱、周りには谷の深さと同じくらいの高さの木々が囲んでいて、うっそうとした雰囲気も出ている。そのせいか、気温も街中よりも若干低い気もするし、湿度もそれなりにありそう。よくもこんな環境をこれまで保ってきたものだと、感心するばかりで、東京都なのか世田谷区なのか、感謝ですね。そうそう、1999年にはこの等々力渓谷は東京都指定の「名勝」となったそう。
そうはいっても本物の自然を見て歩いている人にしてみると、物足りなさはあるだろう。そりゃしょうがない、何と言っても等々力といえばセレブの街で有名な二子玉川、自由が丘、田園調布に囲まれた場所に位置し、この街自身ももちろんザ・セレブ。まあ、そんな立地にある渓谷なので、そのギャップの大きさを感じるために物珍しさ感覚で散歩するのはイイかも。この日の自分達もそんな感じで、歩き始めの等々力駅からすでにキョロキョロしながらの散歩だった。

【Start 東急 等々力駅~等々力渓谷入口~等々力不動尊~Goal 東急 等々力駅】
総行程は、距離1.7km、出発地点標高32m、最高標高32m(出発地点)、最低標高10m(ゴルフ橋下付近)、移動平均速度2.2km/h、総所要時間0h46m(recorded by garmin)

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2016年5月7日土曜日

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(長沢背稜編)

苦しい山歩きにも癒される高山植物(バイカオウレン)
憧れの長沢背稜。中でも雲取山から水松山(あららぎやま)までの範囲は、まさに奥多摩の最深部に位置し、日帰りではなかなか入り込めない山域。奥多摩各域を歩き回った自分、最後に残った山域がここで、今回のゴールデンウィークが晴天の予報となったことを吉と思い、登山者で混み合っているだろうと思いながらも2泊3日の山行を計画。山行2日目となったこの日、酉谷山避難小屋を朝6時に出発した自分は、まずは数年振りとなる酉谷山山頂に挨拶し、その後、雲取山荘のテン場を目指した。長い山歩きの始まりである。
この時期の長沢背稜はまだまだ冬の装いが抜けきれず、昨日の日原での歩き初めで感じた春はなかなか見つからない。それでも、歩きながらようく注意していると、小さな、しかも可憐なお花がところどころに咲いていて、やはりここにもしっかりと春は訪れていたんだと気づく。途中唯一といってもいいのかな北側斜面に位置する水松山の登山道脇に白い花がたくさん咲いていて、なんの花だろうと、見ていると、疲れていたはずの身体がふと軽くなる(後で調べてみるとバイカオウレンと呼ぶようだ)。ガシガシ急登を上っていく山歩きもいいが、たまに高山植物に癒される山歩きもイイ。さあ、少しだけ元気が湧いてきたところで、ここからはいよいよ未踏の地、奥多摩最深部だ。
奥多摩には珍しいシラビソ?の森(荒れてはいるけど...)
と、意気込んだのはいいけれど、やはりこの日は重いザックと疲れの残った身体が思うような歩きをさせてくれない。しかも、ここからの山域は長沢山、桂谷ノ頭、芋ノ木ドッケとアップダウンの連続で、少し歩いては小休止の繰り返しで、なかなか前に進まない感覚。一方で、あまり遅くなるとテン場の良い場所が確保できなくなるのではと、気持ちばかりが焦って、なんとも長い山歩きとなった。ただ、現在地を確認するたびに、「今まで地図でしか見ることのなかった憧れの場所に今、立っている!」、たびたびやってくるそんな感激や、この山域が奥多摩の多くの山域と違っていて、ダケカンバやシラビソ(だろうか)が目につくことによる妙な違和感が、疲れた身体と頭に変なテンションの高まりを与えているようで、そんな不思議な感覚のみが自分の身体を前に押し出してくれているように思えた。加えてこの日の長沢背稜、ゴールデンウィーク真っ只中にあるにも拘らず、三峰との出合の芋ノ木ドッケに着くまでは誰ともすれ違うことがなかったなど、まさにひっそりと静まり返る“山奥”との印象。静かな深山歩き、最高ではないか。まあ、どっちにしても、自分、すでに奥多摩最深部といった不思議な世界に魅入られてしまったようだ。
雲取山荘直前の大ダワに到着したときは、「ここが大ダワか」と、一人ごちては辺りをキョロキョロしながら休憩し、この日最後の上り坂に備えた。テン場に着いたのは午後2時過ぎ、初めての奥多摩最深部、8時間の長い山歩きを終えたときは、疲労よりもむしろ達成感が残った。

【長沢背稜トラック:Start 酉谷山避難小屋~長沢山~Goal 雲取山荘】
総行程は、距離11.5km、出発地点標高1607m、最高標高1946m(芋ノ木ドッケ)、最低標高1553m(酉谷山とタワ尾根の頭中間付近)、移動平均速度1.4km/h、総所要時間7h57m(recorded by garmin)

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(前編)
         〃         (後編)
         〃         (ウトウノ頭編)

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2016年5月5日木曜日

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(ウトウノ頭編)

ウトウノ頭にようやく到着。この後が大変だった。
「ウトウノ頭」、そんな山を知ったのは酉谷山避難小屋へのルートを考えるに当たって「山と高原地図」とにらめっこしていたとき。酉谷山に向かうには小川谷林道を歩くのが最も効率的なルートのようだが、同林道は落石のため今は通行止めとなっているので、あとはヨコスズ尾根からか、天祖山経由か、それとも今回歩いたウトウノ頭のあるタワ尾根を行くかのどれか(後で知ったが孫惣谷林道経由もありらしい)。タワ尾根を選んだのは、ヨコスズ尾根も天祖山経由も歩いたことがあったから。それにウトウノ頭山頂にある、どなたかが作ったレリーフも実際に見てみたかったのもあった。そんな軽い気持ちでルート設定したが、実際にはそんな易しい山歩きではなかった。
この尾根はブナやミズナラの巨樹がたくさん!
この日の自分はテン泊含めた2泊3日用装備を初めて担ぎ、ザックの総重量は20kgオーバー。そんなハンデを背負いつつ、タワ尾根の入口となる一石山神社からいきなりの急登を容赦なく詰めさせられた自分、足がなかなか前に出ないもどかしさと、こんな調子で避難小屋までちゃんと辿りつけるのだろうかといった不安感が頭の中で交差しながらも、とりあえず今は一歩一歩、前進するしかないという気持ちで前を見た。地理院地図とコンパス、それにGPSと、道迷いにも細心の注意を払いながら、それでも初めてのルートをじっくりと味わいながらとでも言おうか、楽しんで歩いた。この尾根、全体的に比較的広めの尾根が続き、しかもほぼ一貫して北西向きの直線ルートなので、地図上はそれほど難しさは感じない。ただ、そこがこのルートの落とし穴だと後になって思う。広い尾根は方向を見失いやすく、支尾根に入り込みやすい。自分の場合は前回の反省もあり、歩きながら何度も現在位置や進行方向の確認を行ったので、今回は道迷いはなかった。それでも何度かは誤った方向に進みそうになったので、この点、やはりコンパスの役割は大きいものだと、ますます読図の大切さを感じるようになってきた。
道中、たどたどしいながらも順調に歩を進めていくと、このルート最大の難関が訪れる。ウトウノ頭を過ぎた辺りに突然現れる20m位はあるだろうか下りの崖。自分、予備知識をあまり持たずに挑んだので、この落差を目の当たりにしたとき、正直かなり動揺した。本当ならその場で冷静にルートを検討すべきだったが、遅れ気味の時間と崖を目の前にしてやや舞い上がってしまい、合理的なルートを選択できなかった。結果としては怪我なく下りることができたけど、まさに決死の思いで下りた。帰ってからブログや地図で確認してみると、崖の左側が比較的傾斜が緩いようで、どうやらそちらが正解のようだったが、自分の場合は思いっきり右側を下りてしまった。いまさらながら、よく下りてこれたものだと、ゾっとする。
この道標を見たときは思わず力が抜けてしまった。
ただ、この難所を抜けた後すぐの急登を上りきればあとは楽勝。途中、作業用モノレールが見えてくるのでそれに沿って尾根上を進めば、ややしばらくして長沢背稜の出合に辿りつく。この日の自分も、ここの道標を見つけたときは腰が抜けそうになるほど嬉しかった。とはいえ、そこから酉谷山避難小屋まではさらに1時間以上もあったんだけど...。
というわけで、タワ尾根を十分に楽しんだ自分、今回の教訓は、やはり「困難を前にしたときの冷静な判断」かな。必ずどこかにヒントは隠れている。運に頼らず確実に生き残るためには、冷静にそのヒントを見つけ出す力が必要とされるのであろう。頑張れ自分。

【タワ尾根トラック:Start 一石山神社~ウトウノ頭~Goal 長沢背稜出合】
総行程は、距離6.75km、出発地点標高673m、最高標高1638m(長沢背稜出合)、最低標高673m(一石山神社)、移動平均速度1.1km/h、総所要時間6h19m(recorded by garmin)

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(前編)
         〃         (後編)
         〃         (長沢背稜編)

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2016年5月4日水曜日

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(後編)

午後3時前なのにテン場はすでにこの状態。
(前編から続く)憧れの長沢背稜の歩き、大小のピークを経て雲取山荘のテン場に着いたのは午後2時を回っていて、既に10張以上のテントがテン場を彩っていた。さすがゴールデンウィーク、それでもさらに続々と登山者が到着してくる。自分もそそくさと受付を済ませ、さっそく場所決めに走ったが、初めてのテン場といえども臆してはいられない。テン泊を快適に過ごすにはやはり場所選びが第一と何かで読んだ記憶があるので、色々物色した末、両隣、ソロの山行者に挟まれる一番静かそうな場所を選んだ。初めてとなるテント張りも、まあ無難にこなしてようやく落ち着いた。2人用のテント、ニーモ・オビは1人で過ごすには十分に快適で、これなら今日の疲れも適度に癒してくれるかもと、期待感が膨らむ。
昨日、避難小屋で意気投合した方(のちに自分はこの方を山仙人と呼ぶこととなった。)とテン場で再会し、せっかくだからテラスで一杯やりましょうということになったが、その方、下戸らしく用意した日本酒半分は結局、翌日の荷物となってしまった。それでも楽しい山談義を終え、この後、酔いも手伝って、午後7時にはシュラフにもぐりぐっすりと就寝。
楽しい山歩きになりますように。
3日目最終日、夜空に満天の星が瞬く午前3時、一人がさごそと起き出し、出発の準備を始めた。寒さ対策にとシュラフカバーとして使ったSOLのエマージェンシーヴィヴィの内側が、身体から発散された汗(水蒸気)でびっしょりとなっていることに驚き、「こりゃあ使えないな」などとぶつぶつ呟きながら、撤収作業を進めたが、出発までに1時間半もかかってしまい、日の出時間が迫っていることにやや焦りを感じながらテン場を後にした。ご来光を見ることとしていた雲取山山頂まではコースタイム30分、日の出までも約30分。朝一番から、はあはあ、ぜいぜいと息を切らし、ぎしぎしと鳴りそうな身体の各所に鞭打って、こんなにしんどかったかな?と何度も偽ピークに騙されながらようやく時間ぎりぎりに山頂に到着。頑張った甲斐あって何とかご来光を拝むことができた。大げさかもしれないがここまでの全ての苦労が報われたと思った。山に来て良かった。山をやっていて良かった。家内にもこの光景を見せてあげたい。家族がみな幸せでありますように。太陽がその顔全てを見せるまでの数分間、色んなことを考え、そして祈った。
そんな感動を若干引きずりながら、最後の下り。当初、石尾根を奥多摩駅まで歩こうかと考えていたが、荷物もまだそれなりに重かったし、身体の疲れもそれなりに残っていたため、鴨沢行きにルート変更。
一緒に歩いたトレラン兄ちゃんと山仙人
下りはなぜだか山仙人とテントが隣りだったトレラン兄ちゃん3人で下りることとなり、自分が先頭に指名された。本音を言えば、足の状態もあったので、いつものようにゆっくりと写真を撮りながら歩きたかったのだが、何せ相手は山仙人とトレラン兄ちゃん、飽きさせるのも失礼かと思い、弱った身体にまたまた鞭打って頑張った。もちろん所々で写真は撮ったものの、ぐんぐんスピードを上げ、鴨沢に着いたのは9時前。おかげで身体のあちこちが悲鳴を上げ、途中、自分大丈夫か?と思うこともあったが、何とか無事に下りてくることができた。本当はこういう歩き方、良くないんだけどね。でも、鴨沢に着いたときはそれなりの達成感もあったり、自信にも繋がったので、それはそれでよかったのかとも思う。最後は奥多摩駅で2人と別れ、一人自分はもえぎの湯で3日間の垢を落とし、その後、蕎麦屋で一杯飲みながら、山の余韻を味わった。この3日間、楽しいことばかりではなく、様々な不安や身体の痛みもあったが、それらをひっくるめて最高の山歩きだった。次はいつ行こう、どこに行こう、そんなことも考えながら、1杯が2杯に...。そうそう、次回からは山に酒を持っていくことはよそう。重いし、下りてからのこの瞬間をより楽しむために。できるかな?頑張ろう。

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(前編)
         〃         (ウトウノ頭編)
         〃         (長沢背稜編)

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2016年5月3日火曜日

初めてづくし『奥多摩最深部』2泊3日の山歩き(前編)

初日泊まった酉谷山避難小屋。人気の避難小屋。
このゴールデンウィーク前半の3連休、天気が良かったので、かねてより計画していた『奥多摩最深部』への山歩きに出かけた。これで奥多摩山域の主要なルートはおおむね制覇することになるので、出かける前からワクワク、ドキドキ。しかも今回の山歩きは、それだけではなく、避難小屋泊とテン泊の連泊と、どれをとっても初めてのことばかりで、こうして無事に帰ってきた今でも何とも充実した山歩きであったと、興奮が冷めやまないでいる。だから、今回の山行記録も前・後編とウトウノ頭編、長沢背稜編の4部編成で記録することとした。
まずは、前編。この日もいつも奥多摩へ行くときと同じく3時起きの始発電車コース。随分と夜明けが早くなってきたものだと思いながら、歩き始めは午前7時の東日原バス停。まだ静かな日原の集落を抜け、初めて訪れる鍾乳洞手前の一石山神社が登山口。神社で山行の安全祈願と家内安全祈願を済ませ、奥多摩特有の最初っからズドーンと強烈な急登をいやがおうにも詰めていくこととなる。ただ、この日、いつもと決定的に違っていたのがザックの重さ。なにせテントやシュラフに食料など2泊分の装備と、初めての避難小屋やテントでの宿泊に備えて調子に乗りすぎた感を反省しながらのビールや日本酒が肩や腰だけではなく、膝などの下半身にズシリとのしかかる。朝、家を出る前に体重計に乗ってみると、軽く20kgをオーバーしていた。登り始めで既に「これで最後まで歩きとおすことができるのだろうか?」といった不安が頭をよぎった。
2日目の朝、小屋前から。右下に富士山がくっきり。
そうこうしながらも、難路とされるタワ尾根をクリアし(タワ尾根に関しては、次回の「ウトウノ頭編で詳細を記録」)、長沢背稜をまずは酉谷山(とりたにやま)避難小屋へ向かった。それにしても、20kgオーバーの荷物がこれほど足に堪えるとは思いもしなかった。1日目の所要時間を6時間に設定したルートを、結局この日は8時間もかかってしまい、避難小屋に着いたのは午後3時。ゴールデンウィーク中のこの避難小屋はその狭さもあり、早い時間に満員になるらしいと、どこかのブログに載っていたが、この日は幸いにも自分は3番目で、最終的にもこの日、寝食を共にしたのは自分を含めいずれもソロの山行者4人で、とても快適に過ごすことができた。このうち一人のベテランの方とは意気投合したうえ電話番号交換をし、今度一緒に山を歩く約束をした。嬉しい山トモができたわけだ。
避難小屋でのソロの泊まりではグループの宴会泊まりに遭遇すると最悪らしく、この日は最高の状況だったので、初日の疲れとビールの効果もあり、午後6時過ぎには就寝し、翌朝5時までぐっすりと寝ることができた。自分、どんな環境でもしっかりと寝ることができるのが唯一の自慢である。
2日目は外気温が氷点下3度(小屋内プラス8度)と冷え込む中、朝日を浴びた富士山がくっきりと姿を見せてくれ、なにやら幸運を予感させる一日の始まりとなった。とはいえ、多少は軽くなったはずの荷物も、むしろ前日のダメージを背負った身体にはさほど効果を見せず、重い足取りのまま奥多摩最深部の長沢背稜をそれでも一歩一歩、着実に歩を進めていくこととなるのだが(詳しくは長沢背稜編で記録する)、それでも朝食に摂った初めてのアルファ米が、意外にもその味、量ともに満足できたことに気をよくし、6時には元気に避難小屋を出発した。
(後編へ続く)
【1日目:Start 東日原BS~ウトウノ頭~Goal 酉谷山避難小屋】
距離12.0km、出発地点標高614m、最高標高1651m(タワ尾根ノ頭分岐)、最低標高614m(出発地点)、移動平均速度1.4km/h、総所要時間8h07m
【2日目:Start 酉谷山避難小屋~長沢背稜~Goal 雲取山荘】
距離11.5km、出発地点標高1607m、最高標高1946m(芋ノ木ドッケ山頂)、最低標高1553m(酉谷山とタワ尾根の頭中間付近)、移動平均速度1.4km/h、総所要時間7h57m
【3日目:Start 雲取山荘~石尾根~Goal 鴨沢BS】
距離12.3km以上、出発地点標高1832m、最高標高2017m(雲取山山頂)、最低標高565m(鴨沢BS)、移動平均速度3.2km/h、総所要時間3h45m+約30m(雲取山荘から雲取山山頂までGPS失念)

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